3BECAUSE 第46話
レトインも善達のもとへと戻り

エーコも立ち直りを見せる。


ようやくライジングサン
全員の5人がそろった。


「レトイン、これから俺達どうすればいい?」


「そうだな…
ジョーカーに残されたのはジン、黒崎、四天王の2人。

恐らく次は四天王が動き出してくるはずだろう」


ジョーカーの主力も、気づけばあとわずか。

しかし、レトインには不安なことがあった。


「四天王が来るはずだが、ジンの考えることだ…

このふざけた力比べも、一気に終わりにするかもしれない…」


「それって…

もうジンが攻めて来るかもってこと?」


「あぁ…
分からんがな…

なにしろ、あいつの行動は読めん」


「確かに…

何が起きてもおかしくはないな…」


そこで、レトインには考えがあった。

善達には時間がない。
こうせざるを得なかったのかもしれない。





3BECAUSE

第46話
 「ハズレ」




その頃、ジョーカーは…

着々と、次なる刺客の準備を進めていた。


「ジンさん。
レトインがまた善達と行動を共にすることとなりました…

どうします?
ここは一気に、私とジンさんで片付けますか…?」


ジンの側近、黒崎嵐は微笑みながら、そう言った。


「まぁ待て。焦るな嵐…

次はおまえの出番だ。


来い!!“ゲンジ”!!」


「はい…俺ですか…

もう俺の出る幕なんて、無いかと思ってましたよ」


ジンが次にとった行動は、やはり四天王の一人

ゲンジを送り込むことだった。


「バカを言うな…
おまえにもきっちり働いてもらうぞ!!」


「はい。お任せください」


順当に四天王を送ったジンのやり方に

もう一人の四天王・東條は疑問に思っていた。


(黒崎の言ったとおり、さっさと片付けてしまえばいいものの…

どこまで余裕なんだ…?ジンさんは…


さすがに“エレクト”の橘善とレトインが再びそろった今

そんなに余裕などないのでは…?
ジンさんは何を考えているんだ…)



至って冷静な判断の東條。

しかし、そんな定石な発想は、もちろんジンの頭の中にもあった。


(嵐もまだまだだ…
誰がそんなつまらない終わらせ方をするか…

善はエレクトとしての力を発揮してはないではないか…


善が目覚め、善とレトインのエレクト2人と相手をして

俺が勝つ!!
そうでなくてはつまらん…


まだか善!?
俺はおまえと戦えるのを楽しみに待っているぞ!!)



誰にも予測できないジンの発想。

ジンにしか分からない、命の駆け引き。


敵、味方さえも、ジンに翻弄され

振り回されていた。




そんなジンの策略も知らず

善とレトインは、2人だけで歩いていた。


「おい…大丈夫なのか…?

大悟達を置いてきて…?」


「………

こうするしかないんだ。
俺達に残された時間はもう少ないんだよ」



レトインは一人焦っていた。

いつジンが攻めてきてもおかしくない、この状況下に…


例え、このまま四天王を相手にしていたとしても

善がエレクトの力を開花させるのは
難しいと判断したレトイン。


そこでレトインは考えた。

善は今は何より、エレクトの力を引き出せるようにする。


同じエレクトであるレトインが、善を指導、訓練し

いち早く善がエレクトの力を身につけることが
何よりも先決であると。


そのため、善とレトインは大悟達と行動を別にして

レトインが付きっきりで
善を強化することにしたのだった。



「俺は心配だよ…

どうするんだよ?今四天王があいつらんとこに
攻めてきたりでもしたら…」


「いいからおまえは、自分のことに専念しろ!

おまえはエレクトの力を引き出すことだけを考えるんだ!
いいな!!善!!」


「チッ…分かったよ!!」


(俺だって心配なんだ…
分かってくれ善…

ジンに立ち向かうには、おまえの力がどうしても必要になるんだ!!


大悟、志保、エーコ…

悪いがおまえらは、善が目覚めるまで
しっかり時間稼ぎをしていてくれ!!

大丈夫…
おまえらなら四天王に勝てる!

いや…勝ってもらわなきゃ困るんだ…


頼んだぞ!!みんな!!)



レトインは不安な気持ちをおさえ、大悟達に望みを託した。

それを察してか、大悟はレトインのとった行動に
何一つ反論などしなかった。



ジョーカーから送り込まれた

四天王のゲンジが、ライジングサンのもとへと向かっている最中…


大悟達は…


「善とレトイン、どこ行っちゃったんだろう…?」


「さぁな…」


「もしかして、2人でかけおちでもしてたりして!!」


「あのね!!エーコ!!

こんな時に、よくあんたふざけてられるわね!!

今、ジンでも来たりしたら
私達終わりなのよ!?」


「冗談なんだからいいじゃん!!

まったく…冗談も通じないなんて…この女は…」



善、レトインがいないことで

3人はとても不安であり、心に余裕などなかった。


(正直、確かに俺たちだけじゃ不安だ…

でも、やるしかないんだ!俺達だけで!!


俺達を信頼して、レトインもこの作戦をとったに違いない…

俺達は、お荷物でもおまけでもない…
俺達だけで倒すんだ!!)


そう、大悟が覚悟を決めた時…

一人の男の声がした。



「あらっ!?ここって…
まえ使ってたライジングサンのアジトじゃねぇか…

まだこんなとこにいたのか!おまえら!!」


「!!!

だ、誰だし!!」


「ここにやってきたってことは…

貴様か…
ジョーカー四天王は!!」


「いかにも、俺が四天王の一人・ゲンジだが…

なんだ…
善とレトインがいないじゃねぇか…


まんまと騙されちまったってわけか…」


四天王・ゲンジの一言の
意味が分からなかった志保とエーコ。


「騙された…?」


「リミテッドの力がする方に
進んで来てみたんだが…

そしたら、ここにたどり着いたってわけよ」


「えっ…?リミテッドの力…?」


そう言われて初めて、志保は気づいた。


「!!!

大悟…あんた今までもしかして…」


「あぁ。善達がいなくなってから、実はずっと力を放っていた。

ごく僅かな微量な力だがな…
それを感じて、ここにやってくるとは…


さすがは四天王だな!!」


「バカじゃん!!大悟!!

わざわざこっちに来させるなんて…
善達の方に行っちゃえば、簡単に倒せちゃいそうなのに!!」


(誰がそんなことさせるか!!

今、善達の修行の邪魔をさせるわけにはいかねぇ!!
倒す…俺達だけでおまえを!!)



四天王・ゲンジは見事大悟の罠にはまり

誘きよせられてしまっていた。


味方をも欺き、大悟の決意は強かった。


「そうか…俺はハズレを引いてしまったってわけか…」


「悪かったな…ハズレで!!

けど…
ハズレでも…


やるときは、やるんだぜ!!」


大悟は闘志をむき出しにし、土の大剣を作り出した。


「あなどった…
ハズレはハズレでも…

大ハズレではなさそうだ!!!」


そうゲンジが、言うと

次の瞬間、大悟は自分の目を疑った。


「!!!

こ…ここは…」


大悟達が今いるはずの場所は

辺り一面、草木が生い茂り、自然に溢れた場所。


しかし、大悟の目に飛び込んできたものは…


「な、なんだこれ!!

高速道路!?ここは高速道路のど真ん中か!?」


「意味が分かんないし!!

あたしたち、急にワープでもしちゃったりしたの!?」


もの凄いスピードで、自分達の横を

車がびゅんびゅんと走り去る。


「うおっ!!あぶねぇ!!

ぶつかるとこだった!!
な、なんなんだこれ…!!」


突然の出来事で、何が起きたか分からない…

しかし、志保が感付いた。


「違う…これ…
私達はワ-プなんかしたわけじゃない…

もしかしてこれ…


“幻”…?」


その志保の一言に
ゲンジは驚きながらも、笑った。


「はっはっは!
ほんとだ!こいつはすげぇな…

以前、四天王・綾音の“音の呪縛”が
効かなかったやつがいると聞く!!


こりゃ驚いたわ…
そこまで分かれば、俺の能力を教えてやろう!!



“ファントム・リミテッド”

“幻覚”の力!!!」




第46話 "ハズレ" 完
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