3BECAUSE 第2話
チャイムと同時に、善は目が覚めた。


(あっ…いつのまにか授業が終わってる…まっ、いっか)


友達(仮)の久保田が寝起きの善に話しかけてきた。


「よっ!善。おまえデコ真っ赤だぞ!?さてはおまえ寝てたな?」


「あぁ…ぐっすり寝てたわ…ん!?
そうだ!思い出したぞ!久保田てめぇ!よくもさっきは!」


そう。こいつが竹中の先公にチクったせいで、俺の遅刻がバレたんだ。


「はっはっは!遅刻するおめぇが悪いんだろ!?」


「るせっ!!おまえにはがっかりだぜ!!」


「それがもっとがっかりなことが…
次の授業はおまえの嫌いな判田の授業です」


「マジ!?やっぱ今日は来るんじゃなかったな…朝からとことんついてねぇ」


英語の教師の判田。俺が一番嫌いなやつだ。
てかみんな嫌ってる。ガミガミとうるせぇやつだ。

そんでもって、英語なまりが激しくて、日本語うまく喋れないで、
何言ってっかよく分からんねぇとこが一番むかつく。


まず英語のまえにてめぇはもう一回日本語勉強した方がいい。



次の授業が判田と分かった瞬間、善は椅子から立ち上がり荷物をまとめ出した。


「お、おい!おまえ何してんだよ?善!!」


「俺帰るわ。じゃまた明日!」


とぼとぼと教室を歩いて出てく善。

まさかの行動に驚きを隠せない久保田。


「………

あいつ何しに来たんだ?遅刻して来たくせに、ずっと寝てて、しまいには帰るなんて…」


まったくだ。何しに学校に善は来たのだろうか…



“じゃまた明日”



善が久保田に言ったこの言葉…



しかし、善は…
今日を最後に、学校に姿を見せなくなる。





3BECAUSE

第2話
 「動き出した闇」





校舎から出た善。眠そうに歩いていた。


「ふぁ~ぁ…眠っ…
ん!?俺学校に何しに来たんだろ…まっ、いっか。」


今頃気付いたか。それは誰もが思ってることである。
本人が分からなきゃ誰も分かるわけがない。



「あれっ!?あの子…まだいる…」


校門のまえには、今朝見かけた女の子が、まだそこには立っていた。


(まだいたんだ…一体何してんだろ?まさか俺を待ってたりして…)

善が女の子の横を通り過ぎようとしたとき…女の子、志保は口を開いた。


「待ちなさい。橘善。」


(ほ、ほんとに来たーーっ!!えっ!?これってもしかして逆ナン!?)


善はここでふと不思議に思った。

(ん!?待てよ…今俺の名前を呼んだよな!?しかもフルネームで…こいつ…もしや…)


何かに気付いたか!?善!?


(もしかしてずっと前から俺のこと狙ってた系?
今まで遠くからあなたのこと見てました…みたいな!)


なわけなかった。
バカとしか思えない。



そんな変な妄想を善がしてる中、志保が善に声をかけた。


「ちょっとあなたに話があるの」


ちょっと緊張気味に善が答えた。

「!!お、おう。なんだよ…?」


「あなたは選ばれたの」


「選ばれた…?」


「そう。あなた、私たちのチームに入る気はない?チーム・“ジョーカー”に」


「ジョーカー…?

(なんだそりゃ…どっかの族かなんかの名前か?なんにせよ、俺はそんなの興味ねぇ)」


期待はずれだったのか、めんどくさそうに善は適当にあしらった。


「わりぃな。そーいった話か。俺パス!俺いいわ!そんじゃぁな。」


「そう…分かったわ…」


志保から立ち去り、ブツブツ一人で文句を言う善。

(なんだよ…ナンパかと思ったじゃねぇかよ…期待して損したぜ)
↑一人で勝手に盛り上がってただけ



善が志保のまえから去って行くなり、志保はまた電話をかけ始めた。


「もしもし…」


「志保か。橘善との接触はできたのか?」


「はい…橘善は…

断りました。」


「断っただと…?橘善はジョーカーに入ることを断ったのか?」


「えぇ。断りました。」


「そうか…それなら仕方あるまい…志保…



橘善を抹殺しろ。」


「はい。了解しました。」


「だが待て…志保。おまえ、やつにはちゃんと説明したのか?」


「いえ。してません。」


「フッ…それなら断るに決まってるだろうな。」


「私がやつにそれほどの素質があるかどうか、試してみます。
橘善がチームにとって本当に必要な存在なのかどうか…

もし私に殺されてしまう程度の男なら、
チームには何の影響力も持たない存在にしかすぎません。」


「それもそうだな…分かった。志保。この件はおまえに任せてみようじゃないか。」


「ありがとうございます」




その頃、善は…
だらだらと、家路を歩いていた。


「ふぁ~ぁ…今日はほんとついてない日だぜ…」

そのとき…ふと、今朝会った謎のフードの男の言った言葉が、善の頭をよぎった。



『誘いは決して受けるな。絶対受けてはならない。だが断れば…



おまえは殺される』



「ちっ…嫌なもん思い出しちまったぜ…
何が殺されるだ。俺が族にでもやられちまうってか?バカバカしい!!」

次の瞬間。背後に何か気配を感じた。

とても恐ろしい“何か”の気配を…



振り返ると…そこには志保が善を睨みつけて立っていた。





第2話 "動き出した闇" 完
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